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従来比3倍のエネルギー密度をもつ次世代リチウム二次電池の放電に成功

株式会社GSユアサ(社長:依田 誠、本社:京都市南区)は、従来のリチウムイオン電池用電極材料に比べて、8倍の容量(注1)をもつ「硫黄-多孔性カーボン複合体」正極材料、および高い容量をもつシリコン系負極材料を備える次世代リチウム二次電池の放電に成功しました(図1)。この電池の放電特性から、正負極材料質量あたりのエネルギー密度(注2)は、従来のリチウムイオン電池(注3)のものに比べて3倍であることがわかりました。このことは、この電池を電気自動車に使用すれば、その走行距離が大幅に延びることを意味します。今後は、シリコン系負極の耐久性能を高めたのちに、この電池の実用化技術開発を進め、2020年のサンプル出荷を目指します。

今回の高いエネルギー密度は、硫黄を含む正極の高容量化技術により実現しました。硫黄は、低コスト、資源的に豊富、および無害であることに加えて、1675 mAh g-1 (注4)の高い理論容量をもつことから、次世代リチウム二次電池の正極材料として期待されています。しかしながら、硫黄が絶縁体(注5)であるために、その電極反応における硫黄の利用率が低い結果、期待される高容量を得ることが困難 であるという問題を有しています。これまで、この問題に対して、多孔性カーボン担体(注6)の孔中に硫黄を充填することで、硫黄に良好な電子伝導性を付与する技術が提案されてきましたが、その孔径が大きく、不均一なことから、硫黄の分散性が低くなり、硫黄への十分な電子伝導が付与されない結果、正極材料質量あたりの容量は,800 mAh g-1以下にとどまっていました。

当社は、ナノオーダー(注7)の均一な細孔をもつ多孔性カーボンの孔に硫黄を充填することによって、1000 mAh g-1を上回る容量をもつ硫黄-多孔性カーボン複合体の合成に成功しました(図2)。さらに、反応中間体(多硫化物)が電解液へ溶解・拡散するという硫黄のもう一つの問題の解決のために有効な技術の開発に成功し、その技術を適用することで、この硫黄-多孔性カーボン複合体電極の容量低下を大幅に抑制しました(図3)。

当社は、より高いエネルギー密度をもつ次世代リチウム二次電池の開発を通じて、今後も低炭素社会の実現に貢献してまいります。

※この硫黄-多孔性カーボン複合体に関する成果の一部を、11月19〜21日に国立京都国際会館で開催される「第55回電池討論会」(主催:電気化学会電池技術委員会)で発表します。

【用語解説】

(注1) 容量

   1gの電極材料から取り出すことのできる電気量

(注2) 正負極材料質量あたりのエネルギー密度

   電池を構成する電池ケース、集電板、セパレータ、および電解液などの部材を除き、電極材料のみの質量から計算したエネルギー密度

(注3) 従来のリチウムイオン電池

   当社市販の電気自動車用リチウムイオン電池

(注4) mAh g-1 (ミリアンペアアワーパーグラム)

   容量(注1)の単位

(注5) 絶縁体

   電子を流さない物質

(注6) 担体(たんたい)

   他の物質を固定するための土台

(注7) ナノオーダー

   1ナノメーター 〜 9ナノメーターを意味する

   1ナノメーター = 1メートルの1/10億 = 1ミクロンの1/1000

   ※髪の毛の太さは、50〜100ミクロン

■【図1】 硫黄-多孔性カーボン複合体正極およびシリコン系負極を備える電池(電極面積:12cm2)の 外観写真と放電特性

■【図2】 硫黄-多孔性カーボン複合体正極の放電特性

※正極の放電特性を明確にするために、ここでは放電電位の安定した金属リチウムを負極に使用しています。

■【図3】 硫黄-多孔性カーボン複合体正極の充放電サイクル特性

※正極の充放電サイクル特性を明確にするために、ここでは放電電位の安定した金属リチウムを負極に使用しています。

[この件に関するお客様からのお問い合わせ先]
株式会社 GSユアサ 広報・IR室 TEL 075-312-1214

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