現代のスムーズな走りか、90年前の走りか。いろいろと検討を重ねましたが、最終的にはやはり当時の走りを再現しようということになりました。自動車の使命は、走ること。ならば、姿形だけではなく、走っている時のフィーリングまで再現したい。そのためには電気回路をわざわざ新作しなければなりませんでしたが、手間をかけてでも「デトロイト号」らしさにこだわりたいという思いが優先したのです。そしてその思いは、修復計画全体に踏襲されることになりました。
「デトロイト号」復活プロジェクトの中心は、電池のプロであるGSユアサと、産業用の電気車のプロである京栄ニチユのテクニカルスタッフ。でも、90年前の車ということもあり、修復計画の実現にはさらに特殊なスキルを持つ専門家の協力が欠かせません。動力伝達部分の部品を調達するために、リユースパーツ流通のネットワークを活用。また、ボディーまわりは、クラシックカーのレストア業者の方とも相談する予定です。さらに、紙と柿渋を使った屋根の修理には、京和傘の職人の方の協力を得ることになりました。さまざまなプロフェッショナルの力を結集するプロジェクト。3月の完成に向けて、いよいよ具体的な作業がスタートします。 | |||||||||||||||
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