インタビュー

Interview

「人の話を聞くことを意識しています。まず聞かないと始まらないんじゃないかな」

― 上田 信 新社長インタビュー ―



Q.まずは、これまでのご経歴を教えてください。

 メーカーに入りたいという思いで就職活動をして、94年4月に旧ユアサコーポレーションに入社しました。入社当初、産業電源事業部に配属され、重電メーカー、電力会社、旧の防衛庁などが顧客の営業を行い、高速道路のETCや携帯電話の電波を中継する基地局などのバックアップ電源、UV装置などを販売する営業マンとして産業電池電源部門に約20年在籍していました。
 その間に旧日本電池との統合があり、その後京都本社の総務部に転属となり、2年間総務業務のGM(課長)を務めたのち現在のソシエ(当時ウイング)へ異動になりました。

写真:代表取締役

Q.特例子会社での勤務が決まったとき、どんな思いでしたか。

 それまで障がいのある方と接した経験がなかったので、初めはどのように接すれば良いのか分からず、戸惑いが大きかったというのが率直な思いでした。

Q.それから4年が経過し、今はどのように思われていますか。

 個性豊かで様々なキャラクターの方がいるという、障がいのない人の集団と何ら変わらず、特別なことはないなと思っています。障がい特性に起因する苦手な部分に対しての理解と配慮があれば、仕事の出来に障がいのあるなしは関係ない気がします。
 具体的な配慮としては…そう、例えば知的障がいの方には、難しい言葉でなく分かりやすい言葉で簡潔に伝えるとか、精神障がいの方には気持ちに寄り添った適切な表現を選ぶなど、あと、怒り口調や大きな声にならないように気を付けているとか(笑)。
 私は地声が大きいので、怒ったように受け取られないように意識して話すことを心がけています。

Q.障がい者雇用で何か特別な処遇制度などはありますか?

 障がいの有無で処遇に差は一切設けていません。逆に言えば、配慮はしますが差別的な優遇はしません。
 入社時はその方のキャリアや障がい状況を考慮し、時給制での「専任職」でスタートする方が多いのは事実ですが、一人一人の勤続年数、目標の達成度、会社貢献度などを勘案し、月給制の「スタッフ職」に処遇を変更する方が増えてきています。
 更に総合職に該当する「一般職」への変更や、将来的には役職者として管理業務や指導的立場を担ってもらうことにも期待しています。
 また、障がいのある社員が障がいのある社員をサポートするなど、特例子会社であることの特徴を活かした組織づくり・人材育成にも取り組んでいきたいと考えています。
 それぞれの障がいレベルでその人が活躍出来る職場を作ることは、社長として当然の責務であり、義務だと思っています。

写真:代表取締役

Q.上田さんご自身が仕事で大切にしていることは何でしょうか。

 営業・総務時代もそうでしたが、「人の話を聞くこと」を意識しています。まず聞かないと始まらないんじゃないかな。特にソシエに来て、強くそう感じています。どんな人の話しにも耳を傾けるということに注意を払い、大切にしているつもりです。

Q.ご趣味は何でしょうか。

 中学・高校と陸上部で活動していたので、今でも時々ランニングをやっています。
 あと、車が好きです。若い頃はMT(マニュアルミッション)車を選んで乗っていたくらいです。今は単身赴任なので自家用車は自宅に帰ったときしか乗る機会がありませんが、何れは再びマニュアル車のオーナーになって操ってみたいですね。

Q.休日はどのように過ごされていますか?

 単身赴任が今年で6年半になり、食事は栄養面を考えて毎日自炊しています。家族のもとに帰ると家事もやりますし、家族のために料理もします。今は「ぬか漬け」がちょっとしたマイブームです(笑)。今年の夏から始めていますが、美味しい漬物が食べたいと思っても京都の漬物はなかなか高級で高いので、安くて好きなものを漬けられる自家製のぬか漬けに目をつけました。きゅうり・人参・ナス・みょうが等の旬の野菜や、変わりどころではネットで調べてゆで卵なども。チーズみたいな味になるらしいのですが、鶏卵は大きいので、次回はウズラの卵で挑戦してみようとワクワクしています。

Q.最後に、社長として今後の会社のビジョンをどのようにお考えでしょうか?

 まずは特例子会社最大のミッションである確実な障がい者雇用を堅持しつつ、その人たちの経済的な自立が実現するよう制度面やサポート面を更に充実させ、生活者としての応援も視野に入れて当社での就労に定着してもらいたいと考えています。そのためにはサポートする側の社員も今後積極的に雇用・育成していきたいとも考えています。
 また、事業としては他企業からの仕事の受注を増やすことと同時に、GSユアサグループ内での新たな定型業務をソシエに委託してもらう基盤づくりです。月次や年次で発生する定型業務などを想定していますが、決まったかたちの仕事(作業)だと、障がいのある社員にも取り組みやすいという利点があり、作業を「見える化」する形で指示すれば、驚くほど効率的な作業が期待出来ますので。
 内外のご協力を得ながら、社員と一体となって取り組んでいきたいですね。

写真:代表取締役

 以上「インタビューは初めての経験で、恥ずかしかったです」と、はにかんでおられた上田新社長でした。