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プロジェクトストーリー03
project storyプロジェクトストーリー 03

海外での生産拠点を立ち上げ

リチウムイオンバッテリーの海外初生産を
ハンガリーの新工場で開始。

outline

欧州では鉛蓄電池である電圧12Vの自動車用補機用バッテリーが、リチウムイオン電池に置き換わる計画がある。「RoHS指令」でも鉛の使用が規制されており、車両に関する環境規制「ELV指令」は新型車での鉛蓄電池の搭載禁止を検討している。こうした背景を受け、GSユアサは欧州自動車メーカーからリチウムイオンバッテリーの生産を依頼され、ハンガリー工場を新設した。

chapter01 前途多難な道のりとなった
ハンガリー新工場プロジェクト。

GSユアサは海外19か国で事業を展開しているが、自動車用リチウムイオンバッテリーの量産を海外で行うのは初めてだった。欧州仕様対応には、さまざまな壁が立ち塞がる。たとえば、仕様を満たす接着剤の吐出装置の調達だ。欧州仕様のバッテリーでは、内部に接着剤を多用する設計となっており、±0.05gという非常に高い吐出精度が要求される。国内外問わず、さまざまなメーカーに問い合わせ、12社目にしてようやく見込みがあるメーカーに出会うことができた。しかし、実際に吐出するとトラブルが頻発した。何度も調整を行うが高粘度の接着剤のため、空気が溶け込み、気泡が混入して不良となってしまうのだ。チーム内で議論を重ね、空気を遮断するアイデアを考案し、課題をクリアすることができた。

ハンガリー新工場

chapter02 次々に発生する問題に、
一枚岩となって対応する日々。

電池設計部門でも別の問題に直面していた。リチウムイオンバッテリーを収納する電池ケースにおいて、熱溶着接合部の強度が設計値に達しなかったのである。外形は鉛蓄電池のケースに似ているが、新規採用した材料が原因だった。期日が迫る中、急いで解決策を追究する。従来の基準にとらわれず、思い切って溶融温度を下げることで、強度を確保できることが判明した。
一つ壁を乗り越えると、次の問題が発生する。電池設計に変更があり、3か月間、プロジェクトが中断したのだ。その影響で全体計画が大幅にずれ込み、日本国内での設備の製造が大きく遅れていた。急遽、プロジェクトメンバーを増員。総動員で設備を製造しているメーカーへ出向き、協力して設備を完成させ、紙一重のところで出荷に間に合った。しかし、国内でのテストを十分に行うことができず、残った問題はハンガリーに持ち越しとなった。

欧州向けに開発された自動車用リチウムイオンバッテリーのモデ
図1.欧州向けに開発された自動車用リチウムイオンバッテリーのモデル

chapter03 新工場稼働の背景に隠れた
現地スタッフとの絆。

ハンガリー工場では、トラブルの連続だった。日本と環境が異なるため、思うように作業が進まない。現地スタッフは多発するトラブルに憤慨し、さらに定刻になるとあっさり帰宅してしまう。自分たちだけで残業し、何とかその場のノルマを達成するという綱渡りの日々を過ごした。しかし、その必死な姿は、次第に現地スタッフの心を動かす。いつしか、自ら積極的に業務を手伝うようになってくれたのだ。現地スタッフが協力的になったことで、作業時間は大幅に短縮。2020年11月にハンガリー工場でリチウムイオンバッテリーの量産を開始した。ハンガリー工場の設備搬入立ち上げ期間は6か月を要し、その間に発生した不具合は約280件という膨大な数となった。乗り越える壁は多かったが、その数だけ現地スタッフとの絆が芽生え、リチウムイオンバッテリー海外初生産というプロジェクトを達成することができた。

現地スタッフとの絆

next goal

リチウムイオンセルからハンガリーで製造し、
純ハンガリー製バッテリーの生産へ。

ハンガリーで生産したリチウムイオンバッテリーは、すでに欧州のさまざまな自動車に搭載されている。量産における課題はまだまだ多いが、今後も現地スタッフと共に改善を進め、より品質を高めていく。現在は日本で製造したリチウムイオンセルを用いて、ハンガリーでバッテリーを生産している。しかし、将来的にはリチウムイオンセルもハンガリーの工場で製造したい。純ハンガリー製のリチウムイオンバッテリーが生まれる日も、そう遠くはない。