2006年11月6日
株式会社 ジーエス・ユアサ インダストリー


遠くにいる相手の存在・感情を伝える
雰囲気情報コミュニケーション通信装置「障子(SHOJI)」を
東京大学大学院工学系研究科 山田研究室と共同開発



  株式会社 ジーエス・ユアサ インダストリー(社長:上田 温之、本社:京都市南区)はこのたび、東京大学大学院工学系研究科の山田一郎教授の研究室と共同で、人が発する情報と周囲の環境情報の双方を伝達する雰囲気情報コミュニケーション通信装置「障子(SHOJI:Symbolic Hosting Online Jog Instrument)」の試作機を開発、来春の商品化を目指して11月8日より市場でのフィールドモニター試験を開始いたします。

  電子メールや携帯電話が普及し、いつでもどこでも会話できる現代社会は、会話や文章だけの限定された伝達手段でコミュニケーションが成立するため、人と人が直接触れ合う機会が減少するので、人間関係がより一層希薄化し、個人が孤立する時代に進む傾向があります。人と人との対面コミュニケーションにおいては、音声や画像などによるメッセージ以上に、人や周囲環境から無意識に発せられる情報(非明示情報)が大きな役割を果たしていますが、これまでの情報通信では非明示情報の伝達はまだ行われていません。

  これまでに、「非明示情報」を伝えるため、人の存在や移動情報、体温や活動状況、部屋の温度・照度・騒音、ポットの使用状況などの情報を通信で伝える研究がなされていますが、いずれも非明示情報のごく一部を通信するだけにとどまっています。

  このような背景から、当社と東京大学・山田研究室は、複数の「非明示情報」を一度に通信して人と人がコミュニケーションを取り、希薄化する人間関係や個人が孤立化していくことを改善するため、2005年4月より雰囲気情報コミュニケーション通信装置の共同研究に着手しました。
  今回、ネットワークを通じて人が発する情報と周囲の環境情報の双方を伝達し、より正確に雰囲気を伝達することを目的に開発された本装置はフルカラーLEDを用いた円筒型表示部を持つ照明スタンドであり、フルカラーLEDのほか、5種類のセンサー(照度、カラー、温湿度、赤外線、超音波)とマイクで構成され、色と光による表現を巧みに活用しています。本装置は、物理的距離が障害となって密接なコミュニケーションを取りにくい単身赴任家族など個人間での利用を想定した「卓上型」と、グループ間での利用を想定した「フロア型」の2タイプがあり、発光部は共通のものとしています。「フロア型」は、職場が離れていても職場の雰囲気をそれとなく伝達することにより、連帯感の増加や孤独感の減少などを目的として開発したものです。

  本装置は、離れた場所でも同じ非明示情報を共有できるという当初の性能確保を実現するとともに、感情の解析・伝送アルゴリズムなどで特許を3件出願しています。2006年9月25日〜28日に倉敷アイビースクエア(岡山県倉敷市)で開催された「ヒューマンインタフェースシンポジウム2006」(主催:特定非営利活動法人 ヒューマンインターフェース学会)にて、当社と山田研究室が学会発表するとともに、今後は大学および企業間でそれぞれ実証試験を行い、フィールドデータをもとに改善を加え、雰囲気情報コミュニケーションのコンセプトを検証してまいります。

【仕  様】
タイプサイズ(mm)重量(kg)
卓上型幅250×奥行220×高さ300約3
フロア型幅300×奥行300×高さ1250約11

【特  長】
 
1. ネットワークを通じて人が発する情報と周囲の環境情報の双方を送受信
       @人が発する情報
            非拘束、非接触でセンシング可能な「人の存在」「移動」「感情」の情報をやりとりする。特に
          「感情」情報は、マイクで取得した音声情報から特徴量を解析し、その中から感情の情報だけ
          を取り出すため、プライバシーを保護し、相手の状況を想起させやすくしている。

       A周囲の環境情報
            センシングが容易かつ比較的短時間で変化し、相手の状況を想起させやすい「部屋の温度」
           「湿度」「照度」「騒音」「色温度」の情報をやりとりする。

 2. 監視されている感覚により不愉快にならないように、あいまいな(感覚的・イメージ的な)形で表現
          表現手段として照明スタンドの輝度、色、位置の変化を利用し、あえてあいまいな形で表現する。

 
3. 現在の情報に加え、過去の情報も光で表現
          生活リズムが違う人同士でも円滑に情報のやり取りができるように、現在の情報に加え、過去の
       情報も光で表現。例えば、単身赴任の夫が深夜に帰宅しても、本装置で過去の照度情報を見て、
       家族がいつごろ寝たかをなんとなくうかがい知ることができる。

【写  真】  雰囲気情報コミュニケーション通信装置「障子」(卓上型)

                    


                 
[この件に関する当社担当部門]
 株式会社 ジーエス・ユアサ インダストリー RMS部(担当 梶村)
 TEL:075−312−0333 FAX:075−312−0444