2004年12月13日


農業用途への燃料電池実証試験を開始


  株式会社 ジーエス・ユアサ コーポレーション(社長:大坪 愛雄)は、産業用電池、大型リチウムイオン電池、電源システム、受変電設備の製造・販売を行う事業会社の株式会社 ジーエス・ユアサ パワーサプライ(社長:依田 誠)とともに、燃料電池を三重県鈴鹿市内の農業用ビニールハウス内に1台設置して運転を行うことで、ハウス内で栽培されるいちごの成長を促進する効果を期待する実証試験を本日から開始いたします。

  実証試験の目的は、燃料電池で発電される電気はもちろん、発電時に排出される炭酸ガスや熱もいちごの育成に利用しようというもので、燃料電池を農業用途で使用する試みは世界でも例がありません。
試験は三重県鈴鹿市内の農家のビニールハウス(約990u)で行われ、燃料電池を夜間から翌朝まで約8時間運転し、ハウス内に炭酸ガスや熱を貯蔵するとともに、日の出前に2時間電照灯を点灯させることで冬場の日照不足を解消します。

  使用する燃料電池は直接メタノール形と言われるもので、燃料のメタノール水溶液(3%)を水素に改質せず直接燃料電池に供給して反応させるものです。メタノール水溶液(3%)は、濃度50%のメタノール燃料を補充することにより、燃料電池システム内部で自動的に希釈され生成されます。別置きの燃料タンクに燃料を満たすと、補充なしで2週間程度の運転が可能です。
  燃料電池の出力は最大1kWで電照灯の電源として利用します。また、発電時には1時間当たり約100ppmの炭酸ガスが燃料電池から排出され、光合成によるいちごの育成促進に利用します。さらに熱も約2000kcal発生しますので、ビニールハウス内の保温効果(推定約2℃)を助長します。

  本実証試験は2005年10月まで行い、実証試験で得られる知見を反映させ、今後さらに農業用途への展開を図るとともに、商品化に向けた燃料電池システムの開発を進めてまいります。

  なお本実証試験は、「技術集積活用型産業再生特区」として「構造改革特区」の認定を受けた三重県が募集する「三重県燃料電池実証試験補助金制度」および鈴鹿市が募集する「鈴鹿市燃料電池実証試験補助金制度」の適用を受けて実施するものです。

【燃料電池システムの概要】
1.燃料電池システム
最大出力(W) 1000
出力電圧 AC100V
外形寸法(mm) 幅484×奥行850×高さ725
重量(kg) 120

2.燃料タンク(別置き)
容量(l) 230
外形寸法(mm) 幅1400×奥行500×高さ2000
重量(kg) 満燃料時250kg

【燃料電池システム設置状況の写真】


          
  
                 
[この件に関する当社担当部門]
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