「市村産業賞」受賞のお知らせ

 YUASA(社長大坪愛雄)は、財団法人新技術開発財団の第35回市村産業賞(*1)貢献賞受賞が決定しましたのでお知らせいたします。
 受賞テーマは「革新的ニッケル電極技術による高容量ニッケル水素電池の実用化」であり、京都大学大学院工学研究科のご推薦によるものであります。受賞者は、当社先端電池第2研究所所長押谷政彦、同研究所電池開発部長綿田正治および同部片山禎弘の3名であります。なお、贈呈式は、2003年4月25日に行われる予定であります。
 このテーマによる受賞は、平成14年度全国発明表彰発明賞および平成14年度大阪発明大賞の受賞に続くもので、当社のアルカリ蓄電池に対する技術貢献が高く評価されたものであります。
技術内容は、従来の焼結式電極に替わる高容量ペースト式ニッケル電極の開発に関するもので、環境適合性に優れた高エネルギー密度のアルカリニ次電池用電極技術を世界で初めて確立し、ニッケル水素電池の実用化への道を開いたオリジナル技術であります。
 この電極の実用化を可能とした主な特徴は、以下の4点であります。
  (1) 水酸化ニッケル活物質の細孔構造の制御による、高密度化技術
  (2) 亜鉛固溶体添加による、カドミウムフリー化および長寿命化技術
  (3) コバルト添加剤による、導電性ネットワーク形成技術
  (4) 重希土類化合物の添加による、高温充電特性向上技術
 これらの材料技術を総合した高エネルギー密度ペースト式ニッケル電極技術は、アルカリ2次電池の技術史上における画期的なニッケル電極技術であり、高エネルギー密度のニッケル水素電池に必須の基本技術として世界で広く使用され、モバイル機器やハイブリッド車および電気自動車の進歩・発展と地球環境問題の解決に大きく貢献してきました。
 さらに当社では、今回の受賞技術であるペースト式ニッケル電極技術を利用し、米国Rayovac 社(*2)との共同により、世界初の15分充電(従来は1時間充電)が可能な革新的な高容量ニッケル水素電池を昨年開発しました。この電池は、充電時間が大幅に短縮できたことにより、使用時の利便性が向上し、従来のニッケル水素電池の代替としてだけではなく、使い捨て乾電池などの一次電池の代替にも最適であり、近年の省資源化の流れに沿った画期的な電池として期待されます。

*1:市村産業賞
  市村産業賞は、リコー三愛グループの創業者である故市村清氏により昭和43年に創設されたもので、科学技術の進歩、産業の発展、文化の向上、その他国民の福祉に関し技術上貢献し、優秀国産技術の育成に功績のあった事業経営者ならびに技術開発者を彰します。
*2:Rayovac 社
  Rayovac 社は、小型の一次電池および二次電池ならびに照明装置の分野で世界をリードしている米国の電池メーカーであります。

本件に関するお問い合わせは、下記までお願いします。

YUASA
本社広報担当 宮部、今川
072-686-6183