1.開発背景 |
| ● |
小型民生用リチウムイオン電池の需要は年々伸びており、2次電池に占めるシェアはトップである。
この電池の多くは、正極にコバルト系材料が使用されており、電池容量は1Ah程度であり、安全性確保のため、
保護回路が組み込まれた状態で使用されている。 |
● |
一方、電気自動車および産業用途の数十Ah以上の大容量リチウムイオン電池はまだ開発途上であり、
大型のリチウムイオン電池に対するニーズは高まっているが、一般市場で販売されるに至っていない。 |
● |
電池を大型化しようとすると、異常時の熱発生量が著しくなるため安全性確保が不可欠となる。
しかし、コバルト系のリチウムイオン電池をそのまま大きくすると、安全性確保が難しく、マンガン系の
材料を用いた電池はコストや安全性には優れているが、コバルト系に比べてサイクル寿命特性やエネルギー
密度が劣るという欠点を有していた。 |
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今回、マンガン系の新材料および電解液を新しく開発したことにより、電池の大型化、安全性確保に
見通しが立ち、さらにマンガン系の欠点であるサイクル寿命特性やエネルギー密度についても改良することができた。 |
2.製品特徴 |
| (1) |
正極にマンガン酸リチウムを使用しているため、従来のコバルト系、
ニッケル系に比べて、高い安全性を有している。 |
(2) |
正極の一部を他の元素で置換することにより結晶安定性を高め、さらに電解液の組成を最適化する
ことにより、世界最高水準の長寿命および高温保存特性を達成している。 |
(3) |
コバルト系材料に比べて安価なマンガン系材料を使用することにより、経済性に優れている。 |
(4) |
コバルト系リチウムイオン電池に比べ、高い電圧を有している。
(1セル当たりの電圧が、コバルト系3.7Vに比べてマンガン系は3.8Vと高い。) |
3.製品仕様 |
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製品名 |
YML15-3.8 |
YML25-3.8 |
YML100-3.8 |
電池寸法 |
高さ(mm) |
130 |
147 |
230 |
幅(mm) |
70 |
71 |
145 |
厚さ(mm) |
22 |
32 |
37 |
公称容量(Ah) |
15 |
25 |
100 |
作動電圧(V) |
3.8 |
3.8 |
3.8 |
電池重量(Kg) |
0.48 |
0.86 |
2.90 |
体積エネルギー密度(Wh/L) |
307 |
297 |
323 |
重量エネルギー密度(Wh/Kg) |
128 |
115 |
138 |
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4.主な用途 |
| (1) |
高出力特性が必要とされる電気自動車用電源 |
(2) |
高エネルギー密度、高安全性が要求される無人潜水艇、宇宙衛星用機器などの産業用電源 |
以上 |