2000年9月18日
ジーエス・メルコテック株式会社
微粒子複合多孔性ポリマー電解質を適用した
リチウムイオン二次電池を本格量産
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;ジーエス・メルコテック株式会社(社長:林 謙佐郎)は、この度、高エネルギー密度・高性能・高安全性を実現した
新コンセプトの無機質微粒子複合多孔性ポリマー電解質を用いたポリマー電解質電池の量産を本格化しました。
この電池は、日本電池株式会社 研究開発本部、三菱電機株式会社 先端技術総合研究所および生産技術センターが
共同で開発したものです。
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近年、携帯電話やパソコンなどの小型・薄型・軽量化に伴い、キーデバイスとしての小型二次電池には、ますます
小型軽量化が求められてきております。
電解質にポリマーを用いたポリマー電解質電池では、電極や電解質などの電池構成部材がポリマーによって一体化
できるため、非常に信頼性の高い電池特性を得ることができます。しかもフリーな電解液がほとんど存在せず液漏れの
恐れがないので、電池の構成材料の中でも大きな寸法・重量を占めるケースに、薄く、軽量なアルミラミネートシートを
用いることができ、電池の薄型化・軽量化のニーズにお応えできるものとして大きな期待が集まっています。
従来ポリマー電池は、通常の有機電解液式リチウムイオン電池に比べて、一般に内部抵抗が大きく、大電流での放電や
低温での放電性能が、劣るという欠点がありました。
今回、開発したポリマー電解質電池は、これらの欠点を解消したもので、有機電解液式リチウムイオン電池と同レベルの
放電性能を有しています。
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【特 長】
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1. | 安全性の向上 |
| 極板とポリオレフィン系セパレータ間に無機質微粒子を配合した多孔性の
ポリマーを充填し電解液を保持させた構造を採用しました。これにより、電極間に耐熱性の電気絶縁層が形成され、
異常発熱時でも両極間の隔壁形成による高い安全性が達成されました。また、極板の空孔内にも多孔性ポリマーを充填し、
電解液をポリマー層に保持させることにより、電解液量の低減を図り、さらなる安全性の向上が可能になりました。
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2. | 高性能を実現 |
| ポリオレフィン系セパレータとポリマー層の最適化を図ることにより、有機電解液系リチウム
イオン電池と同等レベルの大電流放電性能、高い低温性能、低インピーダンスを実現しました。
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3. | 長寿命 |
| 電極間へのポリマー層の導入と電極内部へのポリマー充填により、電池の機械的・
電気化学的安定性が増加し、技術的には100%深度の充放電サイクル条件下でも、1000サイクル以上の寿命を達成する
可能性が実現しました
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4. | 軽量で大きなエネルギー密度 |
| 電池の外装には、昨年3月に製品化しましたアルミラミネートフィルムをケースとした
リチウムイオン電池(LTシリーズ)の市場での300万セル以上の実績をもとに、本ポリマー電池でも同様のアルミラミネート
フィルムケースを使用しました。これにより、単位質量あたり159Wh/kgという、軽くて高いエネルギー密度が達成できました。
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5. | 薄型化 |
| アルミラミネートフィルムケースの採用により、今回LY4Kは4.4mmの厚さですが、さらに
薄型電池の構成も可能となりました。
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【仕 様】LY4K |
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容量 |
560mAh |
重量 |
約13g |
放電電流 |
MAX.2CmA |
充電電流 |
MAX.1CmA |
エネルギー密度 |
159Wh/kg 301Wh/l |
寸法 |
厚み4.4 幅32 高さ59 mm |
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【生産計画】生産設備の能力を順次拡大してまいります。 |
| 2000年7月より | 月産 30万セル |
| 9月 | 月産 60万セル |
| 2001年8月 | 月産150万セル |
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【今後の予定】 |
1. | このLY4Kの実績をもとに、LYシリーズとしてポリマー電池の機種展開を進めます。 |
2. | ポリマー電池の特徴を出せる薄形電池、ノートPCやPDA用途向け高容量電池の開発を進めます。
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なお、この技術内容は9月24日から米国サンディエゴで開催されるポータブル機器用電池に関する国際会議
POWER 2000で発表する予定です。
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【この件に関する当社担当部門】 |
ジーエス・メルコテック株式会社経営管理部 TEL:075−311−1321 |
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【写 真】 |
1. | LY4Kの外観図
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2. | ポリマー層の断面構造
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