日本電池株式会社(社長:田中 千秋)は、このたびトヨタ自動車(株)と共同で、マイルドハイブリッド車用36V密閉型(制御弁式)鉛電池を世界に先駆けて開発し、量産を開始しました。
21世紀における車社会は、石油資源の減少や大気汚染、地球温暖化などの環境問題という大きな課題を抱えています。一方で、自動車はますます快適性が求められ、これまでの14V系電源(電池電圧:12V)システムでは今後の車両消費電力の増加に対応しきれなくなっています。
今回、ガソリンエンジンと小型モーターとを組み合わせたマイルドハイブリッド車用に開発した鉛電池は、電圧が36Vと従来(12V)の3倍であるだけでなく、従来の自動車用鉛電池とは異なる役割を担っています。すなわち、アイドリングストップ中のエアコンなどへの電力供給、発進時の電気モーターによる駆動とエンジン始動、さらに車両減速時の回生充電(エネルギー回収)などエンジン負荷を軽減して燃費改善や排気ガスの減少に貢献しなければなりません。このため、同電池開発にあたっては、パワーとエネルギーの両性能をあわせ持ち、頻繁な充放電に耐え、かつ苛酷な使用環境においても性能を発揮できるように、当社のこれまでのすべての鉛電池技術を投入して、新しい評価試験パターンのもとで改良・開発を行いました。正極板(活物質、格子合金)やセパレータなどの構成部材の改良とともに、負極板についても従来とは異なる劣化モードに対応するため、充電受入性の良い新処方活物質を開発しました。製造技術関係では、36V電池専用の新設備を開発して高精度、高品質を実現しました。
同電池はトヨタ自動車が8月20日に発売した世界初の42V電源システム「THS−M」(トヨタ マイルドハイブリッドシステム)を搭載し、クラウン車に採用されます。なお、今回開発した電池は液式ではなく密閉型(制御弁式)にして補水不要とし、使われ方も従来の常時フル充電方式から部分充電方式へと大幅に変わり、さらに電池の容量や劣化状態を検知して最適充放電制御が行われるなど、自動車用電源の根幹を担うものとして高い信頼性を実現しています。
【特 長】
1. 高信頼性
(超高密度正極活物質、耐食性格子合金、負極新処方活物質や高圧迫型長寿命セパレータなどの
採用により、厳しい使用条件に対する高信頼性を達成)
2. 高出力(薄型極板、電池構成最適化により従来品比2倍)
3. メンテナンスフリー(密閉タイプ・補水不要)
【仕 様】
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