自動車や社会インフラという成長産業へ製品を供給する当社グループは、常にグローバルな市場・技術開発競争の中にあります。また、原材料の特性に起因する需給バランスや価格変動を注視することも重要です。

当社グループは事業に関わるさまざまなリスクとその重要度を見極め、中長期的な視野で堅実かつ積極的な経営を続けていきます。

 

当社グループの事業に関わる主なリスクと、それぞれのリスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容、および対応策は次の通りです。

1.原材料の市況変動に関するリスク

当社グループの主要製品である鉛蓄電池は、主要原材料に鉛を使用していますが、鉛相場が変動した場合もただちに製品価格に反映することができず、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても常にある

対応策

生産体制の全体最適を推進し、さらなるコストダウンを目指すとともに、最適な供給体制を構築していきます。

2.価格競争の激化

当社グループは、各事業を展開するそれぞれの市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって有利な価格決定をすることが困難な状況になっています。国内の同業他社に加え、低コストで製品を供給する海外の会社も加わり、競争が激化しているため、将来的に市場シェアの維持、拡大、収益性保持が容易でない可能性があります。これにより事業の収益性が低下した場合、固定資産の減損リスクなど当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても常にある

対応策

あらゆるコスト削減、営業力強化のための諸施策を推進しています。

3.為替レートの変動

当社グループは、日本、アジア、北米、欧州などで事業を行っています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における製造と調達のコストを押し上げる可能性があり、中長期的な通貨変動により、計画された調達、製造、流通および販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても常にある

対応策

通貨ヘッジ取引を行い、為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしています。

4.国際的活動および海外進出に関するリスク

当社グループは生産および販売活動を日本、アジア、北米、欧州などで行っています。これらの海外市場での活動には以下に掲げるようなリスクが内在しており、これらの事象は当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

  1. 予期しない法律又は規制の変更
  2. 人材の採用と確保の難しさ
  3. 未整備の技術インフラが、製造などの当社グループの活動に影響を及ぼす、または当社グループの製品に対する顧客の支持を低下させる可能性
  4. テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても相応にある

対応策

本部と各拠点間におけるコミュニケーション強化により、世界各地のニーズに沿った製品やサービスを迅速に提供できる仕組みを構築していきます。

5.環境規制について

中国の中央政府より、中国国内の鉛蓄電池メーカーおよび鉛精錬メーカーに対する環境規制強化の動きがあり、当社グループ企業においても一部生産活動に影響を与える可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても常にある

対応策

環境面で果たすべき社会的責任を明確にし、持続可能な社会の実現に貢献するために、グループ全体における環境に対する取り組みの基本的な考え方を示した「環境基本方針」を制定しています。また、グループ全体における環境負荷の低減や環境汚染事故の未然防止を推進するための環境マネジメント体制を構築しています。

6.M&Aに関するリスク

当社グループは、将来の事業拡大においてM&Aは重要かつ有効な手段であると考えています。M&Aを実施する場合においては、対象企業の財務状況などの調査や当社グループの事業への相乗効果など、さまざまな観点から十分に検討しています。しかしながら、事業環境の著しい変化などにより、買収事業が当初の計画通りに推移せず、投資資金の回収ができない場合やのれんに減損損失が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

相応に認識しておく必要がある

対応策

業績モニタリングを毎月実施しています。

7.気候変動について

気候関連課題が重要な経営課題の一つであると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明するとともに、事業活動における温室効果ガス排出量の削減を進めています。しかしながら、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、想定以上の環境対応に関するコストの増加や風水害などによる施設損害、事業活動の制限など、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

完全に予測することは困難である

対応策

蓄電池技術を用いた再生可能エネルギー普及などにより、社会全体の温室効果ガス排出量の削減に努めるとともに、今後はTCFDの提言に沿った情報開示をさらに推進します。

8.災害・事故について

地震・風水害・大雪等の自然災害や当社グループの事業所において火災・爆発・損壊などの事故が発生した場合、不測の事態が発生するリスクが考えられます。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても常にある

対応策

地震・水災・大雪対応マニュアルの構築および「防火管理」「防災管理」の充実化に取り組んでいます。

9.金利変動について

当社グループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものが含まれています。したがって、金利上昇により資金調達コストが増加する可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても相応にある

対応策

第五次中期経営計画においては、成長投資を積極化するために有利子負債は多少増加することを想定していますが、債務償還年数については3 年以内にとどめ、成長と財務規律の両立に努めていきます。

10.訴訟その他の法的手続について

当社グループは、事業を遂行する上で、取引先や第三者から訴訟などが提起され、または規制当局より法的手続がとられるリスクを有しています。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても相応にある

対応策

他社権利および特許などの調査を継続実施し、社内での情報共有強化によりリスクの極小化に努めています。

11.経済状況

当社グループの製品の需要は当社グループが製品を販売しているさまざまな市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、アジア、北米、欧州を含む当社グループの主要市場における景気後退およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても相応にある

対応策

品質重視の基本姿勢に基づいた事業運営によりお客様に安心と信頼を提供するとともに、「革新と成長」の企業理念のもと、企業価値の向上と将来の持続的成長に向けた事業基盤の構築に努めていきます。

12.新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症拡大により、当社グループの生産活動などに支障が生じた場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクが顕在化する可能性の程度や時期

翌期においても常にある

対応策

取締役社長を本部長とする危機管理対策本部を設置し、危機に関する情報の収集および分析を行うとともに、在宅勤務推進などの安全対策を施しています。